最適な一般用医薬品の開発につながる成果
ライオン株式会社は2017年11月28日のニュースリリースで、変形性膝関節症、腰痛の病態に対応した評価モデルにおける、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンの経口投与による有効性を発見し、新たな有効性発現メカニズムの存在を示唆する結果を得たと発表した。
ライオンは、頭痛や生理痛の他、身体の様々な痛みの症状に対して、より最適な一般用医薬品を開発するため、鎮痛成分の有効性に関する基礎研究を実施しており、その継続的な研究が今回の成果につながった。
この成果は、2017年11月18日と19日に福島市で開催の第10回日本運動器疼痛学会で発表された。
評価モデルの活用して効果を確認
厚生労働省の調査によると、年齢を重ねると共に、関節の痛みや腰痛を訴える人は増加し、これらの身体の痛みは、それぞれ発生メカニズムが異なっていることが明らかになっている。
そこで、変形性膝関節症および筋・筋膜性疼痛の病態メカニズムを反映させた評価モデルを用いて、鎮痛成分の効果を確認した。
変形性膝関節症については、中枢性感作の代表的な症状である二次痛覚過敏について、一般用医薬品の鎮痛薬を経口投与したときに痛みが生じる最低限の刺激の強さ(痛みのしきい値)を用いて評価した結果、アスピリンとロキソプロフェンはしきい値が改善し、有意な鎮痛効果が認められた。
筋・筋膜性疼痛についても、同様の評価の結果、各種NSAIDsおよびアセトアミノフェンでしきい値が上昇し、有意な鎮痛効果が認められた。
また、COX-2 のみを阻害する薬剤のセレコキシブは有効性を示さなかったことから、これらのNSAIDsは従来知られてきたCOX-2阻害以外の鎮痛メカニズムが存在することが示唆された。
ライオン社は、この技術を応用し、今後、高齢化に伴い有訴者の増加が予想される膝や腰などの痛みに悩む人の日常生活をサポートする新たな鎮痛薬を開発していくと述べている。
(画像はライオン株式会社のサイトより)

ライオン株式会社ニュースリリース
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