国立成育医療研究センターが世界で初めて開発
国立研究開発法人国立成育医療研究センターは、12月1日、ヒトiPS細胞・ES細胞より作製した視神経細胞を用いて薬物効果を判定する技術を、世界で初めて開発したと発表した。
この成果は、同センター病院眼科医長・東範行氏の研究チームによるもの。視神経疾患に対する新たな治療薬開発を可能にする成果だという。
ヒトES細胞から視神経細胞を作製
ヒトの視神経細胞を純粋に培養することは、これまで不可能だった。しかし同研究チームは、2015年にヒトiPS細胞から、2016年にはマウスiPS細胞およびES細胞から、培養皿の中で機能する軸索を持つ視神経細胞(網膜神経節細胞)を作製することに成功。視神経疾患医療に関する研究を、ヒト細胞を用いて培養皿の中で行えるようにしている。
同研究チームは今回、ヒトES細胞からも視神経細胞(網膜神経節細胞)を作製することに、世界で初めて成功。この成果により、同研究チームが研究を続けてきた視神経細胞の作製法が、多能性幹細胞の種類を超えて普遍的な技術であることも確認された。
効果のある薬剤の開発につながる
今回の研究によって、ヒト細胞を用いた神経系の薬物評価が可能となった。この成果は、創薬への道のりを大きく短縮するものであると、同研究チームは自負。患者の細胞由来のiPS細胞を用いれば、疾患の特徴を持つ視神経細胞モデルの作製も可能となるため、より効果のある薬剤の開発にもつながるとしている。
同研究チームは現在、ヒトiPS細胞およびES細胞から作製した視神経細胞を用いた疾患細胞モデルで、様々な薬物の効果と安全性の検討を進めているという。
(画像はプレスリリースより)

ヒトiPS細胞・ES細胞から作製した視神経細胞を用いて薬物効果を判定する技術を開発 - 国立成育医療研究センター
http://www.ncchd.go.jp/press/2017/20171130.html