東大大学院薬学系研究科・薬学部が発表
東京大学大学院薬学系研究科・薬学部は、11月22日、合成生物学の手法によるステロイド抗生物質の微生物生産系構築に成功したと発表した。
この成果は、同学の阿部郁朗教授および胡丹特別研究員らの研究グループによるもの。創薬研究に大きく貢献することが期待できる成果だという。
ヘルボール酸の生合成に関わる遺伝子群に注目
フシジン酸やヘルボール酸などのステロイド系抗生物質は、翻訳過程を阻害することで抗細菌活性を示す、特異な化合物群。これまでその生合成経路は、初期の数ステップが明らかになっていたものの、その全容は謎に包まれていた。
同研究グループは今回、ヘルボール酸の生合成に関わる遺伝子群に注目し、オキシドスクアレンからヘルボール酸に至る9つの生合成ステップの全てを解明。それぞれの中間体を単離することで、非天然型の抗生物質を取得することに成功した。
また取得した抗生物質の中には、ヘルボール酸よりも高い抗ブドウ球菌活性を持つ中間体が存在することも、同研究グループは発見。ステロイドのA、B環の構造が活性に寄与することを示した。
『Nature communication』オンライン版に掲載
今回の研究で構築されたステロイド抗生物質生産系について同研究グループは、天然物を超える活性を持つ抗生物質を迅速かつ簡便に生合成するシステムの構築につながるものと自負。創薬研究に大きく貢献することが期待できるとしている。
なおこの研究成果は、11月21日付で『Nature communication』誌のオンライン版に掲載された。
(画像は東大大学院薬学系研究科・薬学部の公式ホームページより)

合成生物学の手法によるステロイド抗生物質の微生物生産系の構築に成功 - 東京大学大学院薬学系研究科・薬学部
http://www.f.u-tokyo.ac.jp/news.html?key=1511322374