統計学的に有意な改善効果が認められなかった
生化学工業株式会社は、11月7日、腰椎椎間板ヘルニア治療剤「SI-6603」の米国における第3相臨床試験の結果を発表した。
同試験において「SI-6603」は、薬理効果が認められた。しかし、主要評価項目である投与後13週での下肢痛軽減については、統計学的に有意な改善効果が認められなかったとしている。
コンドリアーゼという酵素を利用した注射薬
腰椎椎間板ヘルニアでは、椎間板の中心部分にある髄核や外側の線維輪の一部が突出する。この突出により、脊椎周辺の神経が圧迫され、痛みやしびれが引き起こされる。
「SI-6603」は、コンドリアーゼという酵素を利用した注射薬。コンドリアーゼは、髄核の構成成分であるグリコサミノグリカン(GAG)を特異的に分解する作用を持つ。同剤を椎間板内に直接投与することで、GAGは分解され髄核は縮小するため、神経への圧迫を減少させる効果が期待されている。
腰椎椎間板ヘルニアには現在、根本治療となる薬物療法が存在しない。そのため、1回の投与で手術と同程度の症状改善効果が期待できる「SI-6603」の上市は、患者の身体的負荷の軽減および医療費節減に貢献できると、生化学工業はしている。
試験の早期再実施に向け、検討・準備を進める
「SI-6603」の米国における承認取得に向けて生化学工業は、有効性および安全性評価を目的とする第3相臨床試験を実施。その結果、主要評価項目については有意な改善効果が認められなかった。一方、副作用などについては大きな懸念は認められず、同剤の安全性が確認されたとしている。
同社は今後、米国における第3相臨床試験の早期再実施に向けて、検討・準備を進めるとしている。
(画像は生化学工業の公式ホームページより)

SI-6603の米国における第3相臨床試験結果に関するお知らせ - 生化学工業株式会社
http://ir.seikagaku.co.jp/