ほくろのメラニン色素が消滅する条件を世界で初めて解明
学校法人関西医科大学は11月2日、研究チームが、ほくろ(色素性母斑)の色成分・メラニン色素が体内に吸収され自然に消滅する条件、を世界で初めて解明した、と発表した。
今回の研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「革新的がん医療実用化研究事業」から支援を受けている。
研究論文は、11月1日午後2時(日本時間11月2日午後4時)に米国科学誌「PLOS ONE」掲載された。
母斑細胞が死滅すれば、ほくろが自然に消滅
メラニン色素は、生体内で長期間存在することができないが、メラニン色素による黒いほくろは存在し続ける。その要因は、ほくろの細胞の母斑細胞がメラニン色素の産生を助けている、からである。
そこで、研究チームは母斑細胞に着目し、高圧処理によりヒト母斑組織を死滅させた。
高圧処理では、母斑組織を2,000気圧で10分間処理し、母斑細胞などの細胞を完全に死滅させ、他の皮膚の主要成分であるコラーゲンなどは損傷なく残した。
なお、高圧処理には、共同研究者の大阪工業大学と国立循環器病研究センター研究所が共同開発した技術を用いた。
母斑組織を死滅させた細胞と残存する細胞を、それぞれ免疫不全マウスに移植し、死滅処理群と未処理群の経過を観察し、色素の変化を計測した。その結果、未処理群は1年後も色素が残存していたが、死滅処理群の色素は体内に吸収され、消滅したことを確認した。
これにより、母斑細胞が死滅すればメラニン色素産生が停止し、ほくろが自然に消滅する、ことを世界で初めて解明した。
研究チームは、平成28年度より先天性巨大色素性母斑の患者に対し、母斑組織の高圧処理と再移植を行う再生医療臨床試験を実施し、予定の10症例の登録を完了した。
今後、「先進医療B」の申請に必要な5例程度の新規臨床研究を準備中とのこと。
(画像はプレスリリースより)

関西医科大学のプレスリリース
http://www.kmu.ac.jp/