年末までに改革の具体案を決定する必要あり
財務省は2017年10月25日に開催した財政制度等審議会の財政制度分科会において、薬価改定によって薬価引き下げにもかかわらず薬剤費が大きく増加し、今後も続くと見込まれている状況であることから、国民の負担を軽減していくため、薬価制度を抜本的に改革する必要性があることを指摘した。
市場価格の反映による国民負担の軽減
市場価格を適時に把握し不要な財政支出がなされないように予算執行することが通常であるが、医薬品分野については、慣行により、市場実勢価格の把握は2年に1回であり、また、新薬の相当部分については、把握していても、市場価格を上回る価格を維持したまま予算執行しているのが現状である。
医薬品についても、適時に市場価格を薬価に反映させることで、市場価格を上回る部分に係る国民負担を抑制する仕組みとしていくべきと指摘している。
革新的な医薬品を見極めたイノベーションの評価
イノベーションを適切に評価していくためには、新薬であれば何でも評価するのではなく、個々の医薬品の画期性や有用性を見極めて評価をしていくことが重要であるが、研究開発の原資とするために一定の売り上げを確保する観点から公的医療保険の価格を設定しており、適当ではない。
また、売り上げを確保して得た利益が研究開発の原資となり、本当に画期的な医薬品を創出する研究開発につながるかどうかも明らかになっていない。
財政措置のみに頼るのではなく、研究開発環境の改善、創薬コスト低減や産業構造転換といった対応が重要であると指摘している。
薬価を引き下げる仕組みを設けるなどの改革を
財務省は改革の方向性(案)として、新薬の収載後も、その使用動向を随時把握し、効能追加等により保険適用時の見込みよりも販売額が増加する場合には、市場拡大再算定も参考に、速やかに薬価を引き下げる仕組みを設けるべきと述べている。
さらに、現行の新薬創出等加算制度は廃止すべきであり、薬価改定時の加算制度を何らかの形で存続する場合には、十分に国民負担を軽減しつつイノベーションの促進につながるよう、他の医薬品にない画期性や有用性の高さを根拠に薬価算定時に相応の加算が認められた医薬品に対象を絞り込むべきとも述べている。
(画像は財務省のサイトより)

財務省 財政制度分科会 配布資料
http://www.mof.go.jp/財務省
http://www.mof.go.jp/index.htm