AMEDのCiCLEに採択されている研究
第一三共株式会社は、10月12日、同社の新規核酸送達技術を用いたウイルス感染症遺伝子ワクチン開発について、産官学連携の研究開発を開始したと発表した。
この開発は本年8月、日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に採択されているもの。
宿主細胞やがん細胞を直接認識し、排除する
新規核酸送達型ワクチンは、抗原をコードする核酸を細胞内に送達し、抗原タンパクを抗原提示細胞内で発現させる。この作用により、抗原提示を効率化し、抗原特異的細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導することができる。
CTLは、抗原提示細胞によって提示された抗原を認識して分化活性化したT細胞。細胞内寄生病原体が潜伏感染や慢性感染している宿主細胞やがん細胞を直接認識し、排除することができる。
第一三共が見出した新規核酸送達技術は、複数の脂質成分から構成される。この脂質成分は、ナノ粒子構造の付与・安定化と、組織レベルおよび細胞内レベルでの核酸デリバリーを実現するもの。細胞内蓄積に伴う毒性が低い点で、期待が持たれている。
医薬基盤・健康・栄養研究所と共同で研究
CiCLEは、2017年度からAMEDが実施している事業。産学官の連携によって、医療現場ニーズに的確に対応する医薬品・医療機器・医療技術などの実用化の加速化や、医療研究開発分野でのオープンイノベーション・ベンチャー育成の促進を、目的としている。
第一三共は今後、CiCLEからの支援をもとにして、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所と共同で、新たなウイルス感染症ワクチンの早期創出を目指す。
(画像は第一三共の公式ホームページより)

ウイルス感染症遺伝子ワクチンの産官学連携研究開発開始について - 第一三共株式会社
http://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/006737.html