従来の腫瘍マーカーより高精度の大腸がんバイオマーカータンパク質を発見
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN)は10月10日、ターゲットプロテオミクスの手法を用いて血清中から、従来の腫瘍マーカーの精度を大きく上回る、新しい大腸がん早期診断バイオマーカータンパク質を発見した、と発表した。
今回の結果は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラム「早期診断マルチバイオマーカー開発」の成果である。研究成果は、10月6日Scientific Reports電子版に掲載された。
アネキシンファミリー4種類のペプチドが9割以上の高精度
国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターの「2017年のがん統計予測」によれば、大腸がんは罹患数予測で1位、死亡数予測で2位となった。
したがって、大腸がんの早期診断・早期治療が、求められる。しかし、現在の大腸がん検査である便潜血検査は、出血のない早期大腸がんに対して陰性、痔核や大腸炎などの良性疾患に対して陽性、となる確率が高いため、精度が悪く早期大腸がんの診断には有効性が低い。
また、現在使用されている大腸がんの腫瘍マーカーCEA(がん胎児性抗原)は、早期大腸がん患者を発見できる確率が4割弱に過ぎない。
NIBIOHNの研究グループは、大腸がんに対するバイオマーカー候補のタンパク質を文献調査からリストアップし、ターゲットプロテオミクスの手法を用いて、血清中のエクソソームを含む細胞外小胞でたんぱく質を探索した。
約700種類の候補から、アネキシンファミリーに属する4種類のペプチドが、従来のバイオマーカーの精度をはるかに凌駕する、9割以上の高い精度で大腸がん患者を見分けることができた。
今後、NIBIOHNの研究グループは、デンカ生研株式会社と協力し、新方式の測定法を開発し、5年後の実用化を目指す、とのこと。
(画像は国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のHPより)

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のニュースリリース
http://www.nibiohn.go.jp/別掲
http://www.amed.go.jp/news/release_20171010-02.html