ゲノム複製サイクルの繰り返しを、試験管内で再構成
立教大学は9月28日、バクテリアゲノム複製サイクルの繰り返しを試験管内に再構成することに世界で初めて成功した、と発表した。
立教大学の末次正幸准教授らは、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議による革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の一環として、研究開発課題「人工ゲノムの試験管内合成法開発」の研究を行っている。
数時間の等温反応で20万塩基対超えの巨大DNA増幅技術を開発
研究グループは、従来の大腸菌環状ゲノム複製機構の試験管内再構成系を見直し、複製終結および複製後DNAの分離反応の融合を検討し、再構築した。
構築した複製サイクル再構成系は、大腸菌由来の25種のタンパク質より構成される反応系である。この系において、複製開始配列を持つ長鎖環状DNA分子が、指数的に増幅することを検出した。このことは、複製サイクルが自律的に繰り返され、環状分子が倍々に増えていることを示している。
研究グループは、大腸菌ゲノム複製のサイクルを、25種のタンパク質により世界で初めて試験管内で再構成することに成功した。
等温で自律的に複製サイクルが繰り返されるため、数時間の等温反応のみで、遺伝子200個程度の20万塩基対を超える長鎖環DNAを正確に試験管内で指数増幅できる。
したがって、従来の大腸菌を用いたDNAクローニングを、無細胞で簡便に行うことが可能になった。
今回開発した技術は、ゲノム複製のメカニズム解明ばかりでなく、今後の合成生物学やバイオ産業の発展に大きく寄与する可能性があるとのこと。
(画像はプレスリリースより)

立教大学のプレスリリース
http://www.rikkyo.ac.jp/news/2017/09/mknpps0000004yiy.html別掲
http://www.rikkyo.ac.jp/