国際共同第3相試験の結果に基づく
アストラゼネカは2017年9月29日のニュースリリースで、現在開発中のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤Olaparib(オラパリブ)が、「BRCA遺伝子変異陽性の手術不能または再発乳癌」を予定される効能・効果として、2017年9月29日付けで厚生労働大臣より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けたことを発表した。
オーファンドラッグの指定は、アストラゼネカが生殖細胞系列のBRCA遺伝子(BRCA1又はBRCA2遺伝子)に変異を有するHER2陰性転移性乳癌患者を対象として行った国際共同第3相試験(OlympiAD試験)の結果に基づくものである。
同試験において、オラパリブ(300mg、1日2回投与)による治療を受けた患者の無増悪生存期間(PFS)は、医師が選択した化学療法(カペシタビン、エリブリン又はビノレルビンのいずれかを選択)との比較において、統計学的に有意かつ臨床的に有意義な延長を示した。
日本では、未承認
日本国内におけるBRCA遺伝子変異陽性乳癌の推定患者数は、約6,000~10,000人と極めて稀ながら、散発性の乳癌とは異なる病態的特性を持つことから、HBOC(遺伝性乳癌・卵巣癌症候群)という確立された疾患概念の一部として認識されている。
BRCA遺伝子変異陽性乳癌は、悪性度が高く予後が不良である可能性が示唆されており、その分子生物学上の特性を考慮した治療薬が求められている。
特に、延命とQOLの改善が主な治療目的となる進行・再発性のBRCA遺伝子変異陽性乳癌においては、現在の標準治療では効果が限定的で副作用も大きな負担となることから、効果と忍容性の高い薬剤が必要とされているが、日本では、まだ承認されていない。
アストラゼネカは、今後もサイエンスの限界に挑戦し続け、患者の人生を変える革新的な医薬品の開発と提供に注力していくと述べている。
(画像はアストラゼネカのサイトより)

アストラゼネカ ニュースリリース
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