標識・複合化試薬「理研クリック試薬」
理化学研究所(以下「理研」)は、2018年2月23日、生物学的製剤による医療診断に有効な標識・複合化試薬「理研クリック試薬」を開発したと発表した。
この開発は、同研究所の田中生体機能合成化学研究室・田中克典主任研究員と藤木勝将特別研究員の研究チームが行ったもの。
疾患の診断や治療に利用されている生物学的製剤
生物学的製剤は、化学的な合成ではなく、生物によって作られる薬剤。標識基(蛍光基や放射線放出核種など)で標識したり、抗がん物質を結合させたりして、使用されている。ペプチド・タンパク質・抗体・細胞といった生物学的製剤は、疾患の診断や治療に利用されている。
標識には現在、活性エステル法が利用されています。しかしこの方法は、水中での反応性に乏しいという問題がある。近年は、遺伝子工学と有機化学反応を併せた方法も検討されているが、どのような検体に対しても簡便かつ迅速に利用できる汎用的な方法は存在しなかった。
医療診断分野の発展に貢献することを期待
理研の研究チームは今回、タンパク質や細胞などの表面に対する標識基での標識、さらに糖鎖などの生体機能性分子との複合化を効率的に行うことができる試薬を開発。「理研クリック試薬」と命名された同試薬は、生物学的製剤への新しい標識・複合化試薬として、『有機合成用試薬百科事典』に選出・発表されている。
理研は、この「理研クリック試薬」が化学者・生物学者・医療現場に携わる研究者に広く周知されることで、医療診断分野の発展に貢献することを期待しているという。
(画像はプレスリリースより)

理研クリック試薬の誕生 生物学的製剤による医療診断に有効な標識・複合化試薬を開発 - 理化学研究所
http://www.riken.jp/pr/press/2018/20180223_2/