2018年9月に着工され、2020年2月に稼動予定
富士フイルム株式会社は、2018年2月22日、グループ会社である富山化学工業の医薬品生産拠点に新工場を建設し、抗がん剤「FF-10832」など独自技術を活かしたリポソーム製剤の生産を行うと発表した。
この新工場は、2018年9月に着工され、2020年2月に稼動する予定だという。
有効成分を効率的に患部に届けるリポソーム製剤
リポソーム製剤は、有機物のリン脂質などをカプセル状にした微粒子すなわちリポソームの中に、薬物を内包した製剤。富士フイルムは、同社が写真フィルムなどで培ってきた高度なナノ分散技術・解析技術・プロセス技術を活用し、有効成分を効率的に患部に届けて薬効を高めるリポソーム製剤の研究開発を推進している。
「FF-10832」は、既存薬を約80nmの均一なサイズのリポソームに内包した抗がん剤。同剤は、薬剤の血中における安定性向上・患部への集積性向上・患部での薬剤放出により、リポソーム製剤化していない既存薬を大幅に上回る薬効を実現。マウス実験では、1/60の低用量であっても既存薬を上回る薬効が確認された。同社は、今年度内の米国臨床第1相試験の開始に向け、準備を進めている。
高度な技術を活用し、新薬開発に取り組む
今回建設が発表された新工場は、日・米・欧のGMP(Good Manufacturing Practice)基準に対応した、リポソーム製剤の生産工場。富士フイルムの高度な技術により、高信頼性・高品質のリポソーム製剤の安定生産を実現するという。
同社は今後も、化合物の合成力・設計力やナノ分散技術などの高度な技術を活用し、がん・中枢神経系疾患・感染症を重点領域とする新薬開発に取り組むとしている。
(画像はプレスリリースより)

「FF-10832」など独自技術を活かしたリポソーム製剤を生産 富山化学工業の医薬品生産拠点に新工場を建設 - 富士フイルム株式会社
http://www.fujifilm.co.jp/