米国、欧州、アジアなどにも出願
株式会社カネカは2018年2月23日のニュースリリースで、東京大学の酒井康行教授と共同開発した「iPS細胞やES細胞などの多能性幹細胞を大量培養する方法」に関する発明について、日本における特許を取得したと発表した。
この特許は、ヒトiPS細胞などの多能性幹細胞を液体培養する際、脂肪酸を1つだけ持つリン脂質である「リゾリン脂質」を加えることにより、均一で適度な大きさの細胞凝集塊にコントロールすることができ、10億個以上の幹細胞を効率的に、かつ低コストで大量培養できることを世界で初めて可能にした。
培養方法で製造した細胞すべてに権利が及ぶ
ヒトiPS細胞は単細胞状態では浮遊培養で増殖することができないため、細胞同士を集めて適度な大きさの凝集塊を作製するステップが必要になるが、培養中にかき混ぜる速度が速いと物理的なダメージにより細胞は死んでしまい、一方で、かき混ぜる速度が遅すぎると塊が大きくなり過ぎて細胞が増殖できないという課題があった。
今回成立した特許は社会的に影響が大きいと考えられたため、国際出願後、日本においてスーパー早期審査請求し、通常の出願であれば特許取得までに1~2年かかるところ、1か月以内の早期に登録査定を付与された。
カネカは、今回の大量培養技術に関して、関連する研究者や企業から高い関心が寄せられていることから、多能性幹細胞を大量かつ高品質に作製できる技術開発を進め、再生・細胞医療において、この技術の実用に向けた取り組みを加速させていくと述べている。
(画像は株式会社カネカのサイトより)

株式会社カネカ ニュースリリース
http://www.kaneka.co.jp/service/news/nr201802231/株式会社カネカ
http://www.kaneka.co.jp/