mTORに結合しT細胞の増殖を抑制する免疫抑制剤
ノバルティス ファーマ株式会社は、2018年2月23日、免疫抑制剤「サーティカン」について、「肝移植における拒絶反応の抑制」の効能を追加する承認を取得したと発表した。
「サーティカン」は、細胞の成長・増殖・生存・血管新生などに関わる哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)に結合し、主としてIL-2とIL-15で刺激されたT細胞の増殖を抑制する免疫抑制剤。
適切な術後管理が必要な肝移植
肝移植は、他に選択可能な治療法がない末期肝不全患者に対する、唯一の治療法となっている。しかし、臓器提供数は非常に限られており、術後の合併症は致命的になる場合もある。そのため、適切な術後管理が必要とされている。
肝移植後における拒絶反応の抑制は現在、副腎皮質ステロイドの併用または非併用下でカルシニューリン阻害薬(CNI)を投与する免疫抑制療法が、標準療法となっている。しかしCNIの長期的投与は、腎機能悪化による慢性腎不全発症やその関連死のリスクがある。必要最低限のCNI曝露量で治療を維持する方法が望まれていた。
いずれの試験でも非劣性が認められた
「サーティカン」は、CNIと異なる作用機序により免疫抑制効果を発揮する。そのため、減量したCNIを併用することで、CNIの曝露量を低下させつつ十分な免疫抑制効果が得られることが、期待されている。
今回「サーティカン」が取得した追加承認は、新規脳死肝移植患者を対象として実施された国際共同第3相臨床試験などの結果に基づくもの。いずれの試験でも同剤は、非劣性が認められている。
(画像はノバルティス ファーマの公式ホームページより)

免疫抑制剤「サーティカン錠」肝移植における拒絶反応の抑制の効能追加の承認を取得 - ノバルティス ファーマ株式会社
https://www.novartis.co.jp/news/media-releases/prkk20180223