成人期の肥満に関連
九州大学の研究グループは2月10日、東京医科歯科大学、筑波大学と共同で、乳児期のエピゲノム記憶が成人期の肥満に関連する仕組みを解明したことを発表した。
胎児期から乳児期の栄養状態が、成人期の肥満や2型糖尿病などの生活習慣病に関連があることが指摘されていた。これは、DOHaD仮説と言われ、ヒトの肥満や習慣病などの代謝疾患にはエピゲノム修飾が関わりがあるとして、注目されている。
生活習慣病に対する「先制医療」につながるとして期待
同研究グループは、乳仔期のマウスの肝臓において、糖質代謝改善作用を持つFGF21の遺伝子が、脂肪酸などの脂質が結合すると活性化して標的となる遺伝子の発現量を増加させる核内受容体(PPARアルファ)を介する脱メチル化を受けることを発見。
また、母親のマウスにPPARアルファを促進する薬剤(以下、人工リガンド)を投与し、仔マウスに授乳すると、FGF21の遺伝子の脱メチル化が促進され、成獣期までの長期間、記憶、維持(エピゲノム記憶)されることも明らかになったとしている。
しかし、成獣期のマウスに人工リガンドを投与しても、脱メチル化は起こらず、また、乳仔期に人工リガンドを投与したマウスでは、肥満の進行が抑えられることがわかったという。
同研究グループは、このことから、乳仔期の脱メチル化が、成長期の肥満の発症や進展に関連しているとして、生活習慣病に対する「先制医療」につながるとしている。
(画像は九州大学HPより)

九州大学 プレスリリース
http://www.kyushu-u.ac.jp/f/32414/18_02_13.pdf