聖マリアンナ医科大学研究グループ、医師主導治験の成果
日本医療研究開発機構は2月8日、抗CCR4抗体(モガムリズマブ)が神経難病のHTLV-1関連脊髄症(HAM)の原因となるHTLV-1感染細胞を劇的に減少させ、脊髄での炎症レベルを改善させることを世界で初めて証明したと発表した。
この成果は、聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター&先端医療開発学 山野嘉久教授、佐藤知雄准教授らの研究グループが、HAMの患者を対象に行った抗CCR4抗体の医師主導治験(第1/2a相試験)によるもの。
HTLV-1関連脊髄症は、脊髄に起きる慢性の炎症が原因で脊髄が傷害され、両下肢のつっぱり感、歩行困難、排尿・排便障害、しびれ感などを発症して徐々に進行し、最終的には車いすや寝たきりの生活を余儀なくされる難病。
2010年の調査で、患者数は全国に3,000名とされている指定難病で、その原因となるヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)の感染者については、世界に2,000~3,000万人、日本に約100万人存在するとされている。
CCR4抗体がHTLV-1感染細胞を減少させ、HAM患者脊髄の炎症を改善
今回の治験では、「HTLV-1感染細胞を標的としてHAM患者脊髄の炎症を改善させる」という全く新しい作用メカニズムによる抗CCR4抗体がHAMの根本的治療薬となる可能性を示し、更にHAM患者に対する安全性が確認された。
HAM患者に対する症状改善効果と共にHTLV-1感染細胞ががん化して発症する成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)への進展予防も示唆され、抗CCR4抗体は画期的なHAM治療薬として期待される。
なお同研究は、日本医療研究開発機構「難治性疾患実用化研究事業」の支援を受けて実施されたもの。
(画像はプレスリリースより)

国立研究開発法人日本医療研究開発機構 ニュースリリース
https://www.amed.go.jp/news/release_20180208-01.html