米国の施設に導入予定
株式会社日立製作所は2018年1月24日のニュースリリースで、国立大学法人北海道大学と共同開発した、陽子線治療システム用の「動体追跡システム」について、2017年12月26日付けで米国食品医薬品局(FDA)から販売認可を取得したことを発表した。
この販売認可の取得により、米国において動体追跡技術とスポットスキャニング照射技術の両方を搭載した陽子線治療システムによる治療が可能となる。
陽子線治療システム用の「動体追跡システム」は、米国で現在建設中の施設に導入される予定となっている。
日本の高精度の放射線治療技術が世界に広がる
陽子線がん治療は、放射線によるがん治療の一つであり、水素の原子核である陽子を加速器で光の約60%の速度に加速し、腫瘍に集中して照射することでがんを治療するものである。
治療に伴う痛みがほとんどなく、他の放射線治療に比べて副作用が少ないため、治療と社会生活の両立が可能であり、生活の質(QoL)を維持しつつ、がんを治療できる最先端の治療法として国内外の医療機関で導入が拡大している。
日立と北大は、呼吸に伴って移動する肺や肝臓の腫瘍の治療に対応するための研究を2010年から開始し、動体追跡技術とスポットスキャニング照射技術の両方を用いた陽子線治療システムは、2014年に世界で初めて実現した。
今回取得した技術は、動体追跡技術を用いて腫瘍の近くに埋め込んだ金マーカーの位置をX線透視画像で追跡することにより、移動する腫瘍に向けてより正確に陽子線を照射することを可能にする技術であり、適応症例の拡大と高い評価に期待される。
(画像は国立大学法人北海道大学のサイトより)

株式会社日立製作所ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2018/01/0124.html国立大学法人北海道大学
https://www.hokudai.ac.jp/