乳がん、胃がん、その他固形がんが目標適応
第一三共株式会社は2018年1月19日のニュースリリースで、DS-8201(HER2に対する抗体薬物複合体(ADC))の日米共同第1相臨床試験における、HER2発現の胃がん患者を対象とした安全性と有効性に関する最新データについて、米国臨床腫瘍学会消化器癌シンポジウム(ASCO-GI)2018で発表した概要を伝えた。
抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体医薬と薬物(低分子医薬)を適切なリンカーを介して結合させた医薬群であり、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めた薬剤である。
DS-8201の有用性が改めて示唆される
この臨床試験のHER2発現胃がんまたは胃食道接合部腺がんの患者を対象とした安全性については、グレード3の有害事象として、貧血(24.4%)、好中球数減少(15.6%)、血小板数減少(13.3%)、白血球数減少(11.1%)等がみられ、グレード4の有害事象として、血小板数減少(4.4%)、白血球数減少(4.4%)、好中球数減少(4.4%)がみられた。
また、HER2発現胃がんまたは胃食道接合部腺がんの患者を対象とした有効性については、トラスツズマブと化学療法による前治療を受けた患者44名において、全奏効率は45.5%(20名)、病勢コントロール率は81.8%(36名)であった。
そして、患者44名のうちトラスツズマブとイリノテカンによる前治療を受けた患者23名において全奏効率は43.5%(10名)、病勢コントロール率は82.6%(19名)となった。
現在、HER2を標的としたトラスツズマブによる治療後に進行したHER2発現の再発・進行性胃がんに対し標準的に使用されている抗HER2療法は存在しないが、今回発表した本試験の最新データにより、胃がん患者におけるDS-8201の有用性が改めて示唆されることとなった。
(画像は第一三共株式会社のサイトより)

第一三共株式会社ニュースリリース
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