TRK融合を有するがんの治療薬として
バイエル薬品株式会社は、2018年1月11日、「Larotrectinib」の米国食品医薬品局(FDA)に対する段階的申請方式での新薬承認申請が開始されたと発表した。
この発表は、独バイエル社が2017年12月20日に発表したプレスリリースを翻訳したもの。同申請は、TRK融合を有するがんの治療薬として同剤の承認を求めるものであり、バイエル社の共同提携先である米ロクソ・オンコロジー社が行っている。
TRK選択性が高い経口の治験薬
TRK融合は、NTRK遺伝子(NTRK1・NTRK2・NTRK3)のひとつが別の無関係の遺伝子(ETV6・LMNA・TPM3など)と異常に結合して生じる染色体異常を指す。この結果として、TRKのシグナル伝達が制御不能となり、がんを引き起こす場合がある。
「Larotrectinib」は、TRK選択性が高い経口の治験薬として臨床開発が行われている薬剤。トロポミオシン受容体キナーゼが関わる異常を有するがんに対して、強力な作用を持つ。TRK融合を有する固形がん患者55例を対象とした解析では、治験責任医師による評価で80%、独立評価委員会による評価で75%の全奏効割合を達成している。
患者が待ち望む新たな治療選択肢を提供
ロクソ・オンコロジーでは、2018年上旬に同申請を完了する予定。なお「Larotrectinib」はFDAより、ブレイクスルー・セラピー(画期的治療薬)、希少小児疾患治療薬、希少疾病用医薬品に指定されている。
独バイエル社は今回の申請開始について、TRK融合を有するがん患者が待ち望む新たな治療選択肢を提供できる可能性に近づくものであり、重要な出来事であると評価している。
(画像はバイエルの公式ホームページより)

TRK融合を有するがんの治療薬として米国でLarotrectinib の新薬承認申請を開始 - バイエル薬品株式会社
https://byl.bayer.co.jp/