肝臓の糖取り込み機能をコントロール
金沢大学の研究グループは1月15日、肝臓の糖取り込み機能をコントロールする分子を、世界で初めて特定したことを発表した。
肥満や2型糖尿病で起こる高血糖の原因は、肝臓が糖を取り込む機能の低下が原因だと知られているが、その仕組みについては、不明だった。
同研究グループは、タンパク質の1種であるサーチュイン(以下、Sirt2)が、肝臓で糖の取り込みに関与することを発見。Sirt2が作用するメカニズムを分子レベルで解明したとしている。
新たな糖尿病薬の開発に期待
タンパク質は、タンパク質の生合成の過程で、アセチル基が付加され、その作用が変化する場合がある。これをアセチル化修飾といい、Sirt2はこのアセチル化修飾されたタンパク質から、アセチル修飾を外す働きをもつ。
グルコキナーゼ調節タンパク質(以下、GKRP)は、糖を取り込む酵素グルコキナーゼが働くために解離が必要なタンパク質だが、アセチル化修飾された状態ではできないため、Sirt2が作用して乖離し、糖を取り込むことができるようになる。
今回、同研究グループはSirt2が機能しない状況でも、アセチル化修飾されないGKRPを作製。
肥満マウスにこれを導入すると、糖を取り込むことが確認できたという。同研究グループは、この結果から、Sirt2を標的とした新たな糖尿病薬の開発につながるとしている。
(画像はプレスリリースより)

金沢大学 研究トピック
https://www.kanazawa-u.ac.jp/rd/53612