早期膵臓がん患者の診断が可能に
国立大学法人熊本大学と国立研究開発法人日本医療研究開発機構は共同で、9月21日、これまで困難であった早期膵臓がん患者の診断が可能であることを発表した。
今回の研究は、全国から集めた血液検体を用いて行われ、膵臓がん組織で活性化する260個の遺伝子のうち、抗体が入手できる130個のタンパク質に対して健常者と膵臓がん患者の血液を比較したところ、23個のタンパク質が健常者に比べて明らかに変化が認められたという。
さらに、解析を行い、血中のタンパク質IGFBP2とIGFBP3が変化していることが判明した。
このことから、IGFBP2とIGFBP3を診断に用いた結果、現在診断に使用されているマーカーのCA19-9では陰性と診断された患者の80%が陽性と診断できたととしている。また、IGFBP2はCA19-9では陰性となる膵管内乳頭粘液性腫瘍にも陽性を示したことも明らかにした。
その他の臓器の診断にも可能性を示す
研究では600近い解析を行い、膵臓がんの他、胃がん、胆道がん、肝細胞がん、大腸がん、十二指腸がんなどのスクリーニングにもIGFBP2とIGFBP3が有効である可能性があるとしている。
膵臓がんは発見されにくい臓器の1つで、早期発見が困難と言われている。早期膵臓がんのスクリーニングに組み合わせれば診断が向上し、今後臨床の場で役立つことが期待できるとしている。

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