医薬品候補「OCH-NCNP1」を検証
慶應義塾大学医学部と国立研究開発法人日本医療研究開発機構は、9月15日、クローン病治験薬の医師主導治験を開始したと発表した。
慶應義塾大学医学部内科学教室と独立行政法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は、クローン病に関する共同研究を行っている。今回の治験は、医薬品候補「OCH-NCNP1」の安全性と有効性を検証するためのもの。
原因は不明な点が多いクローン病
クローン病は、下痢や腹痛といった消化器症状の再発と回復を繰り返す慢性疾患。小腸や大腸に炎症や狭窄をきたし、手術を要する患者も存在する。原因はいまだに不明な点が多いが、最近の研究では、食事などの環境因子に加えて、腸管内抗原に対する過剰な免疫反応が腸に炎症を引き起こすと考えられている。
このような免疫過剰状態を是正すべく、多くのクローン病治療法が開発された。しかし、治療効果が得られても効果が減弱するケースや、副作用で薬剤が使用できないケースなどがあるため、新しい治療法の開発が望まれている。
治療法開発が前進することを期待
慶應義塾大学医学部とNCNPが開発を進めている「OCH-NCNP1」は、動物レベルで腸炎を抑制する効果を持ち、炎症性サイトカインを抑制する効果を有するとされる。
今回開始された医師主導治験では、「OCH-NCNP1」を約6週間にわたって3つのクローン病患者グループに反復投与する。この治験により研究チームは、クローン病の治療法開発が大きく前進することを期待しているという。

難病であるクローン病治験薬の安全性と有効性を検証する医師主導治験を開始 - 国立研究開発法人日本医療研究開発機構
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