腸内フローラが薬の効果・副作用に影響
熊本大学は7月26日、腸内細菌叢(腸内フローラ)が薬の効果や副作用に影響があると発表した。
腸内フローラは既に肥満や自閉症など生理状態に関わりがあることが判明している。実生活において、腸内フローラに多くの影響を及ぼすのは、他でもない抗菌薬・抗生物質だ。
今回、熊本大学ではこの腸内フローラに注目し、個人差の大きな薬の効果や副作用がどう関わっているのかを明らかにした。腸内フローラを有さない無菌マウスと抗菌薬を5日間与えたマウスを使用し、正常な腸内フローラを有するマウスと比べた結果、肝臓と腎臓に明らかな差が現れたという。
より効率的な薬の投与計画に期待
顕著なのは薬物代謝酵素で96%も減少していた。また、肝臓においても最大で82%も薬の代謝機能が減少したこともわかったとしている。今回のマウスの薬物代謝酵素はヒトにも対応しており、市場の半分以上の医薬品の代謝に関わっている。
このことから、腸内フローラの変動によって効果・副作用が減少したり増強したりすることが判明した。
熊本大学は、この結果が抗菌薬の必要のないウイルス性の急性呼吸器感染症(風邪)にも処方されていることや、不必要な抗菌薬・抗生物質の投与が治療薬の効果を変えてしまう可能性があるとして、適切な投与計画につながるとしている。

熊本大学 プレスリリース
http://www.kumamoto-u.ac.jp/