Ⅰ型糖尿病を2025年根治へ
認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワークは6月25日に「Ⅰ型糖尿病を2025年根治へ」にて最新研究成果を発表した。
Ⅰ型糖尿病とは
Ⅰ型糖尿病(IDDM、インスリン依存型糖尿病、小児糖尿病とも呼ばれる)は、自分の体のリンパ球があやまって自分自身のインスリン工場、膵臓のランゲルハンス島B細胞の大部分を破壊してしまうという、主に自己免疫によっておこる病気だ。
生活習慣病や先天性の病気ではなく、遺伝することもまれである。
Ⅰ型糖尿病は、自分の体の中でインスリンを作ることができなくなってしまうため、インスリンによるグルコース(ブドウ糖)吸収が働かず、血管内にグルコースが大量に残る状態になる。その結果様々な形で合併症につながってしまう。
治療法としては、脳死膵臓移植や膵島移植を受けるか、血糖測定をしながら一生毎日のインスリン注射を続ける以外になく、患者本人の苦痛はもとより、患者家族にとっての精神的、経済的負担は多大なものとなっている。
最新研究成果の報告
日本IDDMネットワークは創設20年を超え、『Ⅰ型糖尿病の2025年の根治』という目標を当初から掲げ活動している。
年に一度、具体的な研究成果を研究者と患者・家族と情報共有するサイエンスフォーラムも行っており、今回のサイエンスフォーラムでは、現在最も根治実現に近い治療法として注目されるバイオ人工膵島移植研究の第一人者である松本 慎一氏((株)大塚製薬工場 研究開発センター顧問)の講演が行われた。
また永淵 正法氏(九州大学 名誉教授・佐賀大学 医学部 客員教授)からは「糖尿病誘発性ウイルスの同定によるワクチン開発」をテーマに、松本 征仁氏(埼玉医科大学 ゲノム医学研究センター講師)からは「ダイレクトリプログラミングによるヒト体細胞からβ細胞(iBC)の高効率作出法」をテーマに、それぞれ研究成果解説が行われた。
「治らない」から「治る」へ
当日は高齢患者、成人発症患者、発症初期の患者とその家族など、それぞれのおかれた状況によって抱える悩みや向き合い方などを話せる交流会も設けた。
実際に患者や家族がⅠ型糖尿病と向き合い乗り越えた壁、積み上げた経験をどのように活かしていこうとしているかを発表するプレゼンテーションも行われ、「現在の苦しみを緩和する具体性」と「治るという未来への希望」の両方が現在求められているということを一同認識するいい機会となった。
日本IDDMネットワークは引き続き先進的研究への支援、患者家族への支援両面でⅠ型糖尿病根治に向けて活動を続けていくこととした。
(画像はプレスリリースより)

認定特定非営利活動法人日本IDDMネットワーク
http://japan-iddm.net/