進行性肝細胞がん治療に新たな兆し
独バイエル社は、2016年6月28日、ソラフェニブ錠による治療後に病勢進行が認められた切除不能な肝細胞がん(以下、HCC)患者を対象にした、レゴラフェニブを評価する第III相臨床試験RESORCEにおいて、レゴラフェニブとベスト・サポ-ティブ・ケア(以下、BSC)の併用群は、プラセボとBSCの併用群と比較して、全生存期間を有意に延長したと発表した。
結果データ
プラセボ群に対するレゴラフェニブ群の全生存期間のハザード比(以下、HR)は0.62で、試験期間中の死亡リスクが38%低下した。また、全生存期間の中央値は、プラセボ群の7.8カ月に対してレゴラフェニブ群は10.6カ月だった。
主要評価項目以外の項目においては、mRECISTとRECIST1.1により評価された。
それによると、無増悪生存期間の中央値はプラセボ群の1.5カ月に対し、レゴラフェニブ群は3.1カ月。また、無増悪期間の中央値はプラセボ群の1.5カ月に対し、レゴラフェニブ群は3.2カ月だった。
病勢コントロール率(完全奏効、部分奏効、安定)はプラセボ群の36.1%に対し、レゴラフェニブ群は65.2%。全奏効率(完全奏効、部分奏効)はプラセボ群の4.1%に対し、レゴラフェニブ群は10.6%だった。
安全性と忍容性において、最も多く見られた有害事象(グレード3以上)は、高血圧(レゴラフェニブ群15.2%、プラセボ群4.7%)、手足皮膚反応(同12.6%、同0.5%)、疲労(同9.1%、同4.7%)、下痢(同3.2%、同0%)だった。
背景
肝細胞がんは、最も頻度の高い肝がんで、世界の肝がん全体の70から80%を占めている。にも拘わらず、世界第2位のがんの死因であること、また、現在、進行HCC患者への有用性が認められている二次治療はひとつしかないことから、有用な新しい選択肢の提供が強く望まれている。

バイエル薬品株式会社プレスリリース
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