炭素-フッ素結合の選択的変換を可能に
2016年6月21日、東京医科歯科大学生体材料工学研究所・吉田優准教授と細谷孝充教授の研究グループは、一般的に強固であるため切断困難な、炭素-フッ素結合を選択的に変換する手法の開発成功を発表した。
背景
数多くの低分子有機化合物が医薬品などとして用いられているが、それらの多くにフッ素原子が含有している。フッ素原子を化合物の適切な位置へと導入することで、その活性や代謝に対する安定性が向上するため、様々な位置にフッ素原子を有する有機化合物が求められており、それらを効率的に合成する手法が望まれてきた。
シンプルな含フッ素芳香族化合物の1つであるベンゾトリフルオリド類に関して、そのトリフルオロメチル基の3つの炭素-フッ素結合のうちの1つだけを変換する手法が世界中で精力的に研究されてきたものの、これまでは選択的な変換が困難だった。
研究成果
研究チームは、ケイ素置換基を適切な位置に配置したベンゾトリフルオリド類を利用することで、トリフルオロメチル基の3つの炭素-フッ素結合のうちの1つだけを変換でき、今まで合成することが難しかったジフルオロメチレン類を簡便に合成できることを見出した。
今回の研究により、今まで合成することが難しかった様々な芳香族ジフルオロメチレン化合物を、入手容易な出発原料から簡便に合成できるようになった。今後、合成した化合物群はライブラリーに収蔵していく予定であり、新しい医薬品開発に有用なシーズが発見されると期待される。
(画像はプレスリリースより)

東京医科歯科大学 プレスリリース
<a href=" http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20160621_1.pdf " target="_blank"> http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20160621_1.pdf </a>