診断が困難な重度疾患
中外製薬株式会社は、2016年6月6日、ロシュ社がActemra/RoActemra(tocilizumab)について、巨細胞性動脈炎(Giant cell arteritis、GCA)患者を対象に実施した第3相臨床試験「GiACTA試験」で良好な結果を明らかにしたと発表した。
GCAは頭部の動脈、あるいは大動脈や分枝血管に炎症をきたす重度な疾患である。炎症には重度の頭痛や頭皮圧痛、顎・腕の痛みが持続的に伴うこともあり、未治療では失明、脳卒中、動脈瘤を発症する可能性をもつ。徴候や症状が多様なため診断は難しい。
50年以上新しい治療法がない
新しい治療法は50年以上開発されず、ステロイド投与に限定されている。高用量のステロイド治療の場合、ステロイド不使用での長期寛解が困難になる。
さらに、ステロイドを起因とする副作用として、GCA患者の約80%が白内障、糖尿病、骨折、高血圧などを経験しており、ステロイドの使用削減が治療上の目標となっている。
GiACTA試験は国際共同二重盲検無作為化第3相臨床試験で、GCAに対してActemra/RoActemraの効果と安全性を評価する。14カ国、76施設のGCA患者251人に実施し、GCAの臨床試験では最大規模となる。ステロイドの治療計画に盲検、可変用量、可変期間を採用した初の試験でもある。
GiACTA試験は主要、副次的とも評価項目を達成。GCAと新たに診断された患者とGCA再燃患者に両剤を併用し、6カ月間ステロイドを投与した治療法を、ステロイド単独で6カ月~12カ月間投与した治療法と比較した結果、1年間でより効果的な寛解を維持した。

中外製薬株式会社 ニュースリリース
http://www.chugai-pharm.co.jp/