健常者、乳がん患者、大腸がん患者の識別
株式会社日立製作所と住商ファーマインターナショナル株式会社、住友商事株式会社の共同グループは、糖や脂質など尿に含まれる成分を解析することによって、健常者と乳がん患者、大腸がん患者の識別をする基礎技術の開発に成功したと発表した。
尿中に排出される老廃物で】
開発においては、健常者、乳がん患者、大腸がん患者、それぞれ15の尿検体を対象に、排出された老廃物の解析を実施。1300以上の尿中代謝物を検出することに成功した。検出した代謝物を健常者群と各がん患者群で比較した結果、大きく含有量の異なる代謝物を発見。これらをバイオマーカーとしてさらに分析をしたところ、健常者、乳がん患者、大腸がん患者の尿検体を識別できることが分かった。
がん検診の受診率は低い
早期発見が予後にも大きく関わるとされるがんだが、現在のところ、腫瘍マーカーなど医療機関での検査が必須であり、全身のがん検査を一度にできる技術も確立されていないことから、受診者の負担は大きい。厚生労働省が発表した「平成25年国民生活基礎調査」によると、がん検診のうち最も高い受診率だった肺がん検診でも、40~69歳で男性47.5%、女性37.4%と決して高い数字とは言えないのが現状だ。
簡易的ながん検査の実現に期待
自分で尿を採取するだけでがん検査が可能となれば、簡便さからの受診率向上も見込める。研究グループでは今後、採取した尿を医療検査機関に送るだけでがん検査を可能とする検査スタイル確立のため、乳がんと大腸がん以外のがんの識別および実用化に向けた研究を進めていくとしている。
(画像はプレスリリースより)

株式会社日立製作所 ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews住友商事株式会社 Topics
http://www.summitpharma.co.jp日経プレスリリース
http://release.nikkei.co.jp/detail厚生労働省「平成25年国民生活基礎調査」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin