酸化ストレスで発症する疾患に過剰に発生
理化学研究所と愛媛大学の共同研究グループは、2016年5月27日、酸化ストレス条件下でアミロイドペプチドの凝集を阻害する生体反応を発見したことを発表した。
酸化ストレスは、生体内で作られた活性酵素がタンパク質や脂質、核酸と反応して生体にダメージを与える状態で、アルツハイマー病やがん、脳梗塞、慢性疾患などの原因となる。
共同研究グループは、これらの疾患で過剰に発生するアクロレインがアルツハイマー病で発現するポリアミンと反応し、8員環化合物が生成されることをつきとめた。
酸化ストレス疾患の治療法開発の手がかりに
研究グループがアミロイドペプチドの凝集と細胞毒性阻害メカニズムを検討した結果、アクロレインとポリアミンから生成された8員環化合物は、40個のアミノ酸からなるアミロイドペプチド(Aベータ40)の可溶性の高分子種の形成と不溶性の線維化を防ぎ、細胞毒性を軽減することが判明した。
この研究は、酸化ストレスを増進させる毒性物質と認識されていたアクロレインが、生体内アミンとの反応により新しい生理活性物質(8員環化合物)に変わることで、細胞機能を制御している可能性を示している。
この成果は、酸化ストレス疾患が発症するメカニズムやこれらの疾患を治療する創薬研究に貢献するものと考えられる。
(画像はプレスリリースより)

理化学研究所・愛媛大学 プレスリリース
https://www.ehime-u.ac.jp/