双極性障害患者やその家族との関係性から明らかに
国立研究開発法人理化学研究所は5月24日、理化学研究所脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チームの加藤忠史チームリーダーと大学院生、研究員および獨協医科大学精神神経医学講座藤井久彌子講師、山口大学大学院医学系研究科松尾幸治准教授らの共同研究チームが、双極性障害(躁うつ病)において、両親にはなく子に新たに生じる「デノボ点変異」が関係していることを解明したと発表した。
新たに子に生じる突然変異「デノボ点変異」が関与
発表によると、双極性障害の患者とその両親79組を対象に、ゲノムのうちタンパク質をコードしている「エクソン」の塩基配列を解析して明らかになったもの。双極性障害患者は、一般的にはデノボ点変異がほとんどみられない遺伝子に、タンパク質配列を変化させる「デノボ点変異」が多いことが判明した。また、双極I型障害の患者と統合失調感情障害の患者を組み合わせたグループでも、健常対照群と比較してデノボ点変異が多かった。
今後は遺伝子の特定がカギ
このたびの研究では、複数の患者において同じデノボ点変異がみられるケースはなかったということで、双極性障害の原因遺伝子自体の特定には至らなかった。今後、原因となる変異を起こす遺伝子特定が、双極性障害の原因解明や治療法などの開発につながると期待される。

理化学研究所 報道発表
http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160524_3/日経プレスリリース
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=414375&lindID=5