超高純度に対応
2016年5月18日、岡山大学異分野融合先端研究コア・仁科勇太准教授らの研究グループは、非常に薄い炭素シートである酸化グラフェンと、ベンゼン類の混合により、グラフェンの形成反応とベンゼン類のC-H結合の活性化反応が同時に起こることを見いだしたと発表した。
背景
酸化グラフェンは、安価かつ大量に存在するグラファイトの酸化により得られ、炭素原子1個の厚みからなる材料であり、幅広い用途に使用するための取り組みが試みられている。
従来、C-H結合の活性化反応を行うためには、金属酸化物や超原子価ヨウ素などを酸化剤として用いてきたが、反応後に副生成物としてこれらの還元体が生じるという問題が存在していた。
研究成果
研究グループは、酸化グラフェンとベンゼン類を混合し、グラフェンの形成反応と機能性有機分子の合成を同時に行う新たな合成法を発見した。
酸化グラフェンを酸化剤として代替することに成功するとともに、副反応が起こらず、目的の生成物を高い収率で得ることができた。また、酸化グラフェンやグラフェンは簡便に除去でき、医薬品や有機電子材料など、超高純度が求められる化合物の合成に適したC-H結合の活性化剤になると期待される。
さらに、酸化グラフェンが還元されて生じたグラフェンは、高い導電性を有しており、比表面積も大きいことから、スーパーキャパシタの電極として優れた性能を有していることが明らかになった。
(画像はプレスリリースより)

岡山大学 プレスリリース
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