OVOL2が上皮性恒常維持に関与
2016月5月2日、京都府立医科大学・北澤耕司助教、木下茂教授、京都大学・升井伸治講師らのグループは、角膜上皮における機能が全く知られていなかったOVOL2が、角膜上皮を機能的に維持していることを発見したと発表した。
背景
視覚の維持には角膜が透明であることが必要不可欠であり、角膜の混濁によって視力低下や失明を引き起こす。再生医療研究が進む中、特定の細胞を適切に誘導する技術が必要となってきているが、角膜上皮細胞の分化がどのように規定されているかは未だわかっていない。
研究成果
研究グループはiPS 干渉法を用いて、OVOL2を含む6つの転写因子セットが、ヒト角膜上皮の性質を決定しているキーとなる因子であることを見出した。
6つの転写因子のセットをヒト皮膚線維芽細胞に導入することによって、角膜上皮特異的タンパク質を発現している細胞を誘導することに成功した。角膜上皮細胞においてOVOL2をノックダウンさせると、角膜上皮の重要な機能の1つである、異物侵入をブロックするバリア機能が大きく低下した。
このことにより、角膜上皮における機能が全く知られていなかったOVOL2が、ヒト角膜上皮の上皮性維持に関与、線維芽細胞から角膜上皮細胞への分化転換に寄与を行うことが示された。また、その維持メカニズムとして、上皮間葉転換を介していることがわかった。
今回の研究結果により、今後、角膜上皮細胞の特異性を維持している分子を解明することで、iPS/ES細胞から角膜上皮細胞への分化誘導は培養期間の長さ、誘導効率の低さといった課題を克服し、高品質な角膜上皮細胞作製の期間短縮と高効率化が期待される。

京都府立大学 プレスリリース
http://www.kpu-m.ac.jp/doc/news/2016/files/11878.pdf