皮膚の構造を維持するコラーゲン
佐藤製薬株式会社は、2016年5月2日、皮膚の機能維持に重要な基底膜を損傷させるタンパク質分解酵素、MMP-9の発現を抑制する生薬エキス、インチンコウエキスを発見したと発表した。
インチンコウはキク科のカワラヨモギの成熟頭花から生成し、第十六改正日本薬局方に収載されている生薬である。
表皮と真皮の間にある基底膜の構成成分にIV型コラーゲンとVII型コラーゲンがある。前者は基底膜の網目構造を形成し、後者は基底膜と真皮とをつなぐアンカリング線維で、これらが紫外線などで発現亢進するMMP-9(Matrix MetalloProteinase-9)により分解されると、基底膜の構造が変化し、皮膚の光老化を招くとされる。
MMP-9発現抑制作用をもつエキス
同社のライフスタイル研究課は皮膚機能と生薬の研究を進める中で、表皮角化細胞のMMP-9遺伝子発現に対し有用な素材を約300種の植物エキスから探索した。
その結果、紫外線で誘導される炎症性サイトカインTNF-アルファにより発現亢進したMMP-9に抑制作用をもつと同時に、基底膜成分の分解を抑制するインチンコウエキスの作用を見出した。
腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor)であるTNF-アルファは、細胞間相互作用により炎症を引き起こす炎症性サイトカインとしても知られる。
このたびの研究成果は、日本薬学会第136年会(3月26日~29日)で発表された。

佐藤製薬株式会社 ニュースリリース
http://www.sato-seiyaku.co.jp/newsrelease/2016/160502_1.html