新しいタイプの治療薬
杏林製薬とキッセイ薬品は10月17日、共同開発中の過活動膀胱治療薬「KEA-0447/KRP-EPA605」の第Ⅰ相臨床試験を開始したと発表した。2009年から両社が共同研究を開始したもので、2012年から実際に開発が進められている。
悩む人が多い病気
過活動膀胱とは、加齢や神経疾患などが原因となる疾患で、急激で抑えが効かないほどの強い尿意(尿意切迫感)や、頻尿、急にトイレに行きたくなり、我慢できずに尿漏れしてしまう(切迫性尿失禁)、夜間の排尿回数が増える(夜間頻尿)などの症状を引き起こす。
40歳以上の男女のうち、8人に1人がこのような症状を感じているという。
今のところ、神経トラブルによるものと、骨盤底筋が弱ったりするために起こるものがあることは分かっているが、それ以外の原因については詳しく解明されていない。しかし、過活動膀胱の中で最も多いのは、原因不明なものと加齢によるものだ。
「KEA-0447/KRP-EPA605」とは
本剤は、平滑筋収縮に関わるプロスタグランジンEP1受容体に作用するもの。膀胱の平滑筋過活動を抑制し、頻尿を改善するという。
従来の治療薬には、筋肉の収縮を抑制する抗コリン薬や、膀胱し緩作用を持つβ3作動薬が使用されてきた。しかしこれらには副作用も多く、年齢、持病などによっては使用できない場合もある。
本剤の開発が進み実用化されれば、今までよりも治療が受けやすくなることが期待される。

キッセイ薬品工業株式会社2013年ニュースリリース
http://www.kissei.co.jp/news/l3/Vcms3_00000724.html