ADA-SCIDの根本原因を改善
2016年4月1日、グラクソ・スミスクライン株式会社は、極めて希少な疾患であるアデノシン・デアミナーゼ欠損による重症免疫不全症(ADA-SCID)の治療法となるStrimvelisについて、欧州医薬品庁の医薬品委員会より肯定的見解を受けたことを発表した。
ADA-SCID
ADA-SCIDは、欧州では、1年間に約15名がADA-SCIDを発症すると推定されている極めて希少な疾患であり、遺伝子異常によって引き起こされる。この遺伝子異常により、白血球の一種であるリンパ球の産生に必要なアデノシン・デアミナーゼ(ADA)と呼ばれる必須タンパク質が産生されなくなる。
先天的にADA-SCIDとなった小児患者は健康な免疫システムを構築することができず、感染症に対する抵抗力がなく、直ちに治療しない場合、この疾患は生後1年以内で死に至る。
40年以上にわたり骨髄移植によって異常のある造血幹細胞の置換が行われてきたが、免疫が適合するドナー、又は近親者の免疫が適合するドナーから採取した細胞の有無に左右される。また、免疫(又はHLA)の完全な適合はないため、免疫不適合によって拒絶反応を引き起こすこともある。
Strimvelis
Strimvelisは、個々の患者の細胞を利用した造血幹細胞遺伝子治療で、ADA-SCIDの根本原因を改善するための治療法であり、承認されれば、小児における生体外遺伝子治療法として世界初の承認となる。
欧州委員会の正式な決定まで、Strimvelisが承認される国・地域はないが、承認を得た場合には、ヒト白血球抗原(HLA)の一致した近親者の幹細胞ドナーがいないADA-SCID患者への治療として、製品名Strimvelisとして販売される予定である。

グラクソ・スミスクライン株式会社 プレスリリース
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