エベロリムスとの併用投与で成果
2016年4月20日、エーザイ株式会社(以下、エーザイ)は、第107回米国がん研究会議で、自社創製の抗がん剤レンバチニブメシル酸塩(一般名、以下、レンバチニブ)と抗がん剤エベロリムス併用投与時の、作用機序解析並びに腎細胞がんに対する抗腫瘍効果についての非臨床研究成果を発表した。
腎細胞がんは、腎臓におけるがんの9割以上を占めており、尿細管の細胞ががん化したもので、罹患率は50歳代後半以降に増加し、女性より男性に多く発症するとされている。手術が難しい進行性や転移性の腎細胞がんでは、分子標的薬による治療が標準だが、5年生存率が低いという現状がある。
レンバチニブ
レンバチニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)などの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼ(RTK)に対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な、新規結合型チロシンキナーゼ阻害剤である。
レンバチニブは、進行または転移性腎細胞がんに係る適応で、米国と欧州において申請中であり、FDAより、ブレイクスルーセラピーと優先審査品目の両指定を受けている。また、EMAより、迅速審査の指定を受領済みであり、日本の当局とも申請に向けての協議を行う予定である。
研究成果
エベロリムスは血管内皮増殖因子(VEGF)受容体並びに線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体のシグナル伝達経路のより下流を抑制することが示され、併用投与においてはその両方の作用機序によって、血管新生に対する強い阻害が確認された。
また、併用投与において、レンバチニブによる血管新生阻害とエベロリムスによるがん細胞に対する直接的な増殖抑制の協調で、より強い抗腫瘍効果の発揮が示唆された。

エーザイ株式会社 ニュースリリース
http://www.eisai.co.jp/news/news201625pdf.pdf