5-ALAによる検出を免れる特性
東京医科歯科大学と東京工業大学の共同研究グループは、2月8日、再発に深く関わる癌幹細胞が診断薬5-ALAによる検出を免れる特性を発見したと発表した。
5-ALA(5-アミノレブリン酸)は、難治性の癌である悪性脳腫瘍などの術中診断薬(腫瘍細胞検出薬)として用いられている診断薬。同研究では、既存の鉄キレート剤デフェロキサミン(DFO)との併用により、癌幹細胞の検出が可能であることも発見されている。
癌の「責任細胞」である癌幹細胞
癌幹細胞は、癌の進展と治療抵抗性、そして再発にも深く関わる責任細胞と考えられている細胞。癌を構成する多様な細胞を生み出す能力を持ち、従来の放射線化学療法に抵抗性を示す。癌の診断・治療法の開発にあたっては、考慮すべき重要な細胞とされている。
5-ALAは、その特性から、悪性脳腫瘍などの摘出手術時に光線力学診断薬として用いられてきた。しかし、術中診断法の癌幹細胞に対する有効性についてはこれまで十分に検討されていない。そこで同研究グループは、脳腫瘍細胞についてフローサイトメーターによる1細胞レベルでのPpIX蛍光検出系を開発。5-ALAによる癌幹細胞の検出効率を検証した。
PpIXの蓄積に対する鉄のキレート効果を検証
検証の結果、癌幹細胞は通常の大多数の癌細胞よりもPpIXの蓄積が少なく、5-ALAによる検出が困難であることが明らかとなった。
同研究グループはさらに、PpIXの蓄積に対する鉄のキレート効果を検証。その結果として、DFOと5-ALAを併用することで、5-ALAの癌幹細胞検出効率を著しく改善したとしている。
(画像はプレスリリースより)

癌再発に深く関わる癌幹細胞が診断薬5-ALAによる検出を免れる特性を発見 - 東京工業大学
http://www.titech.ac.jp/news/2017/037415.html