がん細胞の遊走を阻害する
沖縄科学技術大学院大学(以下、沖縄科学技術大学院大)は2月10日、がんの転移の原因の1つであるがん細胞の遊走を阻害する技術を開発したと発表した。
がん細胞が体内で広がることは、がんにおける最大の脅威だが、病巣を広げていく浸潤と体内を移動する細胞遊走がある。しかし、がん治療に有効な分子を同定することは困難とされてきた。
今回、沖縄科学技術大学院大は日本電子株式会社の協力の下、細胞遊走に必要な細胞内部にネットワーク状の線維構造を形成する細胞骨格と結合している脂質ラフトに注目、可視化で制御・阻害の観察することに成功したという。
新しい子宮頸がん治療へ期待
それによると、ルテニウム金属錯体を中核にした3個のペプチドが集合した発光性分子を作製、この分子が脂質ラフト同士を結合させてできるクラスターが細胞が固定し、運動が阻害される。
がん細胞はこれに反応し、糸状仮足という突起物を伸ばすが、この突起物にもクラスターができ、細胞がピンで留められた状態になるとしている。
また、これを繰り返すことでやがてがん細胞は破裂し細胞死に至るという。
沖縄科学技術大学院大はこの研究が新しい子宮頸がん治療につながるとして、今後は今回の培養細胞系での成功をもとに、動物実験を実施する予定だとしている。
(画像は沖縄科学技術大学院大学HPより)

沖縄科学技術大学院大学 プレスリリース
https://www.oist.jp/