4Kディスプレイ・太陽電池技術を再生医療へ応用
名古屋大学は、1月6日、同学大学院工学研究科の研究グループが、iPS細胞等の幹細胞に対してより安全な量子ドット「ZnS-ZAIS-COOH(ZZC)」を開発したと発表した。
同研究グループは、「ZZC」を用いてマウス生体内における移植幹細胞を高感度可視化(イメージング)することにも成功。4Kディスプレイ・太陽電池技術を再生医療へ応用展開したものと、同学はしている。
細胞毒性を100分の1程度まで大きく低減
有機系色素や蛍光タンパク質は通常、蛍光強度が低く、また安定性も乏しい。そのため、これら蛍光プローブを利用した生体内における移植幹細胞の高感度イメージングは、極めて困難だった。一方で従来の量子ドットは、カドミウムなどを含む。幹細胞や生体への毒性が懸念され、利用に制限があった。
今回開発した量子ドット「ZZC」は、カドミウムなどの毒性成分を含まない。そのため、従来の量子ドットと比較して、細胞毒性を100分の1程度まで大きく低減。低コストでの大量生産も可能にした。高感度な生体内移植幹細胞イメージングを実現している。
英国科学誌『Scientific Reports』電子版にも掲載
「ZZC」開発により、多くの幹細胞を標識して追跡する必要がある前臨床試験での利用は、低コストで可能となる。今後の再生医療の実現・加速に大きく貢献できると、同学は期待している。
なおこの研究成果は、英国科学誌『Scientific Reports』電子版において、英国時間1月6日午前10時に掲載されている。
(画像はプレスリリースより)

最先端量子ドット技術でマウス生体内の脂肪由来幹細胞イメージングを実現 - 名古屋大学
http://www.nagoya-u.ac.jp/