新しい白血球である疾患特異的マクロファージSatMを発見
大阪大学免疫学フロンティア研究センターの佐藤荘助教、審良静男教授らの研究グループは、12月22日、新しい白血球である疾患特異的マクロファージSatMを発見し、この細胞による線維症発症メカニズムの一端を解明したと発表した。
線維症は、臓器が弾性を失い、硬化して正常な役割を果たせなくなる疾患。肺、肝臓など、生命活動に重要な臓器がダメージを受けた際、修復の過程で誤ってI型コラーゲンなどの膠原繊維が集積すると、肺、心臓、肝臓、腎臓、皮膚などの重要な臓器で線維症が起きる可能性がある。
線維症新規治療薬の開発に期待
線維症の発症には免疫細胞が関与していると考えられていたが、これまで発症に関わる細胞の特定はされていなかった。
しかし今回、大阪大学免疫学フロンティア研究センターのグループは、線維化期に患部に集まる単球が線維症の発症に関与していることを解明。この細胞はこれまでに報告のない新しい細胞であり、SatM (Segregated nucleus Atypical Monocyte)と名付けられた。
この線維症発症に関与する新規の細胞SatMは、発見当初の基礎研究の段階から、同グループと中外製薬株式会社が共同で研究を行ってきたもの。
現在、線維症に有効な薬はないが、同研究によりSatMを標的とした治療法が開発されることにより、今後線維症に対して高い効果を示す薬が得られる可能性が期待される。
(画像はプレスリリースより)

大阪大学ニュースリリース
http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2016/20161222_1