インスリン分泌量により遺伝子の発現が変化
東京大学は11月23日、肥満や糖尿病に関わりのあるインスリン分泌量により遺伝子の発現が変化することを発表した。
これは東京大学大学院理学系研究科と東京大学大学院新領域創成科学研究科との共同研究によるもので、まだ不明だった食後や絶食時での異なるインスリン分泌の時間変化、濃度がどのように遺伝子発現が制御されているのかが判明したとしている。
糖尿病などの疾患の効果的な治療に期待
同研究グループは、インスリンで刺激した肝がん由来の培養細胞(FAO細胞)と遺伝子の発現を調べることのできるRNAーseq実験で、発現を変化させる278の遺伝子をインスリン応答遺伝子と名付け、さらに機能的に重要な役割を持つ53の遺伝子を選定した。
それによると、高い濃度のインスリンによって発現が増加する13の遺伝子と、低い濃度のインスリンでは発現が低下する16の遺伝子があり、前者は素早く反応し、後者はゆっくりと反応するという。
また、これらの遺伝子は細胞の代謝や増殖、分裂に関わりのある遺伝子が含まれていたことが分かったとしている。
この実験はマウスを用いた実験でも同様の結果が得られたとしている。
同研究グループは今回の結果から、薬を分泌する時間速化や濃度を制御することができれば糖尿病などの疾患の治療を効果的に行える可能性があるとしている。
(画像はプレスリリースより)

東京大学 Research News
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