大気汚染物質がアトピー性皮膚炎の症状を引き起こす仕組みを解明
東北大学は11月16日、大気汚染物質がアトピー性皮膚炎の症状を引き起こす仕組みを解明できたことを発表した。
アトピー性皮膚炎は20歳以下の10人に1人が罹患していると言われているアレルギー性皮膚疾患だ。
しかし、その原因ははっきりとは分かっておらず、遺伝による体質と環境が関係していると考えられており、昭和30年頃から急激に増えた現代病の1つである。
新しい治療薬の開発につながるとして期待
東北大学は原因の1つと知られている大気汚染に転写因子AhRを活性化する成分が含まれていることから、AhRを活性化させたマウスの性質を調べると皮膚のアレルギー性炎症やバリア機能障害、喘息などの症状を発症しやすいことが分かったとしている。
この症状はヒトのアトピー性皮膚炎の症状によく似ており、アトピー性皮膚炎患者と同様に表皮内に神経が侵入して痒みを感じやすくなっていたという。
また、表皮の遺伝子発現を調べると、神経伸長よりも神経栄養因子arteminの発現が誘導されていることからarteminを抑制する抗体を投与したところ、神経伸長と痒み過敏性が改善したことが明らかになったとしている。
東北大学は、今回の結果から現在のステロイド剤による対症療法だけではなく、AhRの活性やarteminを抑制する物質を探索することで新しい治療薬の開発につながるとして期待できるとしている。
(画像はプレスリリースより)

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