治療薬の開発と契約の締結
日東電工株式会社は、進行性非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と肝硬変に対するsiRNAを用いた治療薬を開発し、ブリストル・マイヤーズスクイブ社と製造および販売に関する独占契約を締結した。
日東電工株式会社が肝硬変を対象として開発してきた「ND-L02-s0201」を含む世界的な独占契約となっており、米国ハート・スコット・ロディノ法での承認によって成立する。
日東電工株式会社は、2008年から線維症に対する研究を行い、治療薬の開発を行ってきた。
「ND-L02-s0201」は、線維症の一因であるコラーゲンの生成や分泌を調節するHSP47を阻害するsiRNAを用いた治療薬である。
日東電工株式会社は、進行性非アルコール性脂肪性肝炎またはC型肝炎等に起因する進行線維症患者を対象に第II相試験を実施し、米国FDAから2つの疾患において優先審査指定を受けている。
非アルコール性脂肪性肝炎とは
一般的に、肝細胞に中性脂肪が沈着して肝障害を引き起こすことを脂肪性肝疾患といい、中でも脂肪滴を伴う肝細胞が30%以上の場合を脂肪肝と呼ぶ。
長年、脂肪肝は、アルコール摂取が原因に深く関わっていると考えられてきたが、ここ数十年においては、飲酒歴が無くてもアルコール性肝障害に類似した脂肪性肝障害を発症することが判明しており、研究が進められている。
非アルコール性脂肪性肝疾患は、肝細胞に脂肪が沈着する単純性脂肪肝と、脂肪沈着とともに炎症や線維化がおこる脂肪性肝炎の2種類に分類され、後者を非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と呼ぶ。
進行すると、肝線維症、肝硬変、肝臓がんや肝不全に進展する。米国では患者数はおよそ2000万人にのぼり、その内300-400万人は重度と診断されている。
今回の契約により、非アルコール性脂肪性肝炎の治療に対する研究と開発はより一層加速することが期待されており、現時点で治療選択肢が存在しない進行性非アルコール性脂肪性肝炎およびそれに起因する肝硬変患者の治療に貢献することが期待されている。

日東電工株式会社
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