米国感染症学会週間IDWeek2016にて発表
シオノギ製薬がかねてより開発していた、『新規注射用シデロフォアセファロスポリン抗菌薬Cefiderocol』は、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌への良好な非臨床試験結果を得たため、感染症予防・治療の専門家が集う米国感染症学会週間にて発表されることとなった。
感染症患者から取得した8,765株のグラム陰性菌の99.6%に対して、抗菌薬Cefiderocolがわずか4μg/ml以下の濃度で細菌の増殖を抑制したという試験結果により、強力な抗菌活性が明らかとなった。
また、グラム陰性菌の中でも、カルバペネム系抗菌薬非感性とよばれる種類の菌種が存在し、前述の8,765株のグラム陰性菌内にも1,290株程度含まれていたが、抗菌薬CefiderocolのMIC90は緑膿菌とアシネトバクターに対して1μg/ml、腸内細菌科細菌に対しては4μg/mlを示し、こちらも強力な抗菌活性が明示された。
既存の抗菌薬が効かない薬剤耐性菌は、世界保健機構の発表においても年々増加していることが明らかになっており、早期解決すべき重篤な社会問題である。
特にカルバペネム系抗菌薬に耐性を示す緑膿菌やアシネトバクター、腸内細菌科細菌等のグラム陰性菌を原因菌とする感染症は、重症化する可能性が高く、有効な治療薬の開発が強く望まれている。
今回の試験結果により抗菌薬Cefiderocolがこれらの耐性菌に対する有効な治療薬となる可能性が高いと実証されたことは、今後の医学の発展に大いに貢献するものである。
シデロフォアセファロスポリンとは
シデロフォアは細菌が産生する鉄と結合する物質で、細菌の成長や増殖に不可欠な鉄を菌体内に取り込む機構で重要な役割を担っている。
Cefiderocolはそのシデロフォア構造を分子内に有するセファロスポリン系抗菌薬であり、鉄と結合して細菌の鉄取り込み機構を利用することで効率的に菌体内に侵入出来るため、強力な抗菌効果を発揮することに成功した。

シオノギ製薬
http://www.shionogi.co.jp/