ネグレクトの分子細胞のメカニズムを解明
横浜市立大学は10月25日、養育放棄(以下、ネグレクト)の原因となる分子細胞のメカニズムを解明したと発表した。
今回、横浜市立大学学術院医学群生理学の高橋琢哉教授らの研究グループは、発育期のネグレクトが精神形成に大きな影響を与え、難治性の精神疾患につながっていることが知られていながら不明だった分子神経基盤に注目し、ラットにウイルスを使用した生体内遺伝子導入方や電気生理学的手法を用いた実験を行ったとしている。
これは世界で初めて明らかになったもので、ネグレクトを発育期に経験した動物において、攻撃性が増加することや内側前頭前野においてAMPA受容体のシナプス移行が阻害されていること、ストレスホルモンが増加すること、細胞骨格制御因子のコフィリンが攻撃性を増加して脳回路形成異常を引き起こしていることが判明したという。
内側前頭前野は思考や創造性をつかさどり、人格や適切な社会的行動の調節に関与していると言われている。
新規治療薬開発にも期待
ネグレクトは、心理的、身体的虐待で、虐待の約40%を占めており、大きな社会問題となっていて、成人後に精神疾患を引き起こしたり、犯罪を起こしたりするケースも少なくない。
横浜市立大学は、今後、養育環境が原因である精神疾患の新規治療薬開発につながるとして期待している。
(画像はプレスリリースより)

横浜市立大学 プレスリリース
http://www.yokohama-cu.ac.jp/