亜鉛トランスポーター「ZIP7」の働きを発見
徳島文理大学は10月7日、亜鉛が腸粘膜の増殖に重要な関わりがあることを発見したと発表した。
細胞内の亜鉛濃度を制御する亜鉛の輸送体(以下、亜鉛トランスポーター)の1つである「ZIP7」が遺伝子的に欠損したマウスを解析したところ、腸粘膜構造が維持できないことが判明したとしている。
亜鉛トランスポーターはいくつもあり、それぞれが腸粘膜構造に大切な役割を持っていることが分かっているが、消化管粘膜の維持や機能についてはまだ不明であった。
この研究は慶應義塾大学、富山大学、理化学研究所と共同で行われていたもので、「ZIP7」が欠損したマウスは腸粘膜構造の著しい崩壊が見られ、数日後から死亡率が上昇し、1週間後には全てのマウスが死亡したという。
このことから、「ZIP7」は腸管上皮細胞の増殖と幹細胞の維持を行っていることが判明したとしている。
がんなど新たな治療法につながると期待
亜鉛は体内で減少すると、味覚障害や免疫機能不全などの異常を引き起こし、様々な病気の原因になっている。また、腸粘膜構造の異常にも関連があると言われている。
腸粘膜構造を覆う腸管上皮細胞は、体内で栄養の消化やウイルスに対する抗菌物質を作り出す重要な組織だ。
同御研究グループは今後、「ZIP7」の機能を制御する化合物を見つけることで、炎症性腸疾患やがんなどの新たな治療法につながるとして期待している。
(画像はプレスリリースより)

徳島文理大学 プレスリリース
http://p.bunri-u.ac.jp/image/pdf/pr20161014.pdf