未だ良い治療法が存在しない強皮症
京都大学は、3月27日、学際融合教育研究推進センターなどの共同研究グループが、強皮症患者・対照群合わせて1.9万人のDNAを解析し、新規関連遺伝子を二つ発見したと発表した。
この研究は、同センター特定助教授の寺尾知可史氏、そしてフランスコヒン病院や米国ハーバード大学などが共同で実施したもの。強皮症は、未だ良い治療法が存在しない疾患。
特定疾患治療研究事業対象疾患に指定
強皮症は、皮膚および血管・臓器の線維化・硬化を来す疾患。硬化が及ぶ範囲によって、全身性と限局性に分類される。罹患するのは女性が多く、日本国内での患者数は推定で約2万5000人。重篤な合併症に対しては免疫抑制剤が用いられるが、根本的な治療がなく治療が困難である場合も多い。厚生労働省からは、特定疾患治療研究事業対象疾患に指定されている。
強皮症の原因としては、遺伝的要因の関与が知られている。しかし、これまでの同疾患における遺伝的解析は大半がヨーロッパ人を対象としており、アジア人における強皮症の全ゲノム関連解析は小規模のものにとどまっていた。
病態解明と治療法の探索を続ける
同研究グループは、716人の日本人強皮症患者と1797人の健常人対照検体を用い、一塩基多型(SNP)と呼ばれる遺伝子変異に注目したアレイを使用して、全ゲノム関連解析を実施。結果、フランス人の結果と統合した約360万のSNP解析によって、既知の領域を除く33の疾患感受性遺伝子の候補を見出した。
同グループは、今後もゲノム解析を続け、同疾患の病態解明と治療法の探索を続けるとしている。
(画像はプレスリリースより)

強皮症新規関連遺伝子の発見 - 京都大学
http://www.kyoto-u.ac.jp/