白血病の一種、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍
名古屋大学は、3月27日、 同大医学部附属病院・奥野友介特任講師らの研究グループが、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)の原因遺伝子変異を発見したと発表した。
BPDCNは、白血病の一種。同グループは同疾患の遺伝子解析を行い、原因となるMYB融合遺伝子を発見している。
再発する場合が多く、予後は悪い
BPDCNは、非常に稀ながら小児にも成人にも発症することがある白血病。白血病は通常、血液を作る器官である骨髄に発生する。しかしBPDCNは、皮膚の発疹として発症することが多いという特徴を持つ。確立された治療法は存在せず、他の白血病に対する抗がん剤治療や骨髄移植をはじめとした造血細胞移植が試みられている。しかし再発する場合が多く、予後は悪い。
同研究グループは今回、BPDCNの遺伝子解析を行い、MYB融合遺伝子を発見した。MYB融合遺伝子は、がん遺伝子として知られるMYB遺伝子と、いくつかの他の遺伝子が間違った形に融合することで生じる遺伝子。このMYB融合遺伝子により、他の遺伝子が活性化され、正常な細胞が白血病細胞に変化することを明らかにしている。
臨床応用の加速を期待
同研究では、この融合遺伝子の検査法を確立。また、いくつかのMYB融合遺伝子によって生じる治療標的も特定したという。この成果により、BPDCNに対するMYB融合遺伝子を検出する診断法や、MYB融合遺伝子を標的とした治療法の臨床応用が加速することを、同研究グループは期待している。
なおこの研究成果は、英国科学誌『Leukemia』の3月27日付け電子版に掲載されている。
(画像はプレスリリースより)

芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)の原因遺伝子変異を発見 - 名古屋大学
http://www.nagoya-u.ac.jp/