国内20万人の患者数。さらなる増加傾向に
2013年10月31日、エーザイ株式会社(本社:東京都、代表:内藤 春男)は、同社が国内で販売する「アリセプト」(一般名:ドネペジル塩酸塩)について、レビー小体型認知症に関する効果・効能の追加申請を提出した。
アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症と並ぶ、3大認知症のひとつでもある、レビー小体型認知症は、病理学的には、大脳と脳幹の神経細胞欠落と多数のレビー小体出現を特徴とした変性性認知症で、さらに、神経科学的では、脳内コリン作動性神経障害を特徴とし、同様の障害を発現するアルツハイマー型認知症の症状よりも、その程度は重いとされている。
また、必須症状である、進行性の認知機能障害ばかりでなく、精神障害をはじめとして、行動障害、運動障害、自律神経障害を発現。その患者数はおよそ20万人で、老年期における認知症の10~20%を占めるという報告もあり、さらに多くの罹患数が予想されている。
また、治療には、国内の主要治療ガイドラインにおいて、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の使用が推奨されているが、未だ効能を有する薬剤が無いという現状が背景にあった。
認知機能障害の改善に有意性
同社は、ドネペジル塩酸塩について、日本人のレビー小体型認知症患者139名を対象に、国内臨床第II相試験(プラセボ対照二重盲検比較試験)を実施。
認知機能障害、全般臨床障害、さらにレビー小体認知症で、高頻度に発現する精神症状・行動障害を評価項目に設定し、ドネペジル塩酸塩の12週間投与の有効性および安全性を検討した。
その結果、認知機能障害については、プラセボ投与群に比べ、全ドネペジル投与群に、有意な改善効果を確認。また、最終評価時の全般臨床症状の改善率にも、プラセボ投与群と比べ、全ドネペジル投与群に、有意な改善効果が確認された。さらに、精神症状・行動障害について、プラセボ投与群と比べ、ドネペジル10mg投与群に、有意な改善効果が確認された。
その後、国内臨床第II相 非盲検継続長期投与試験を実施し、長期の安全性および有効性を検討。その結果、同薬の認知機能障害および精神症状・行動障害の改善効果が 52週にわたって持続することが示された。
さらにこれらの結果を受け、レビー小体型認知症患者142名を対象に、プラセボ対照二重盲検比較試験と非盲検継続長期投与試験を統合した試験として、国内臨床第III相試験を実施。
同試験では、認知機能障害に加え、精神症状・行動障害のうち、幻覚および認知機能変動を評価の水準として設定。
認知機能障害においては、ドネペジル10mg投与群に改善が認められたものの、その一方で、最終評価時における幻覚および認知機能変動については、プラセボ投与群についても同様の改善がみられ、ドネペジル投与群、プラセボ投与群ともに有意差は認められなかった。
日本の認知症治療に大きな前進か
同試験により、継続長期投与において、認知機能障害については、治療期12週投与終了時で認められた改善が、52週にわたって維持されたことが示された。
また、これらの試験において認められた安全性プロファイルは、これまでに確認されているものと同様であり、想定外の有害事象の発生もなかったことなどから、レビー小体型認知症の新たな効能・効果として一定の期待が持てる結果となった。
なお、国内臨床第III相試験の結果詳細は、今後、学会および論文にて発表される予定となっている。

「エーザイ株式会社 ニュースリリースより」
http://www.eisai.co.jp/news/