ヒト乳歯歯髄幹細胞が分泌する誘導因子
国立大学法人徳島大学は、3月9日、ヒト乳歯歯髄幹細胞が分泌する新規M2マクロファージ誘導因子を用いた難治性肝疾患治療法を開発したと発表した。
この開発は、同大大学院医歯薬学研究部・口腔組織学分野の山本朗仁教授らの研究グループが行ったもの。
代替治療法の開発が急務となっていた
劇症肝炎は、短期間で高頻度に死に至る難治性疾患。同疾患では、肝炎ウイルス・薬物・自己免疫肝炎などが原因となって短期間で肝臓に広範な壊死が起こり、肝不全などの臓器不全が死を招く。
劇症肝炎の病態は複雑であり、悪化した場合は肝移植以外に有効な治療法が現状では存在しない。肝移植療法もまたドナー不足の問題があり、近年期待が高まる再生医学による治療についても諸問題が存在する。代替治療法の開発が急務となっていた。
新たな治療戦略となる可能性を示唆
同研究グループは、ヒト乳歯歯髄幹細胞の培養上清から見出した抗炎症性Mマクロファージ誘導因子を、劇症肝炎ラットモデルに単回静注した。すると、病態が劇的に改善することを発見。この M2マクロファージ誘導因子は、単球走化性促進因子(MCP-1)と分泌型シアル酸認識レクチン(sSiglec-9)で構成される。
同研究グループはこの結果について、MCP-1/sSiglec-9 が劇症肝炎に対して新たな治療戦略となる可能性が示唆されたとしている。
(画像はプレスリリースより)

ヒト乳歯歯髄幹細胞が分泌する新規 M2 マクロファージ 誘導因子を用いた難治性肝疾患治療法の開発 - 国立大学法人徳島大学
http://www.tokushima-u.ac.jp/